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はむ院長の健康講座その15
夏バテ その2
「昔から夏は暑かったんですね」「「昔は」暑かったんだよ」
「今は違うんですか?」
「今はクーラーや冷蔵庫があるからね、話はもう少し複雑なんだ」
「そうなんですか」
季節と臓器
「従来であれば、季節は夏(5月5日頃~8月6日頃)、長夏(7月22日頃~9月22日頃)、秋(8月7日頃~11月6日頃)と推移していくよ」「暑い夏、蒸し暑い長夏、寒暖差の激しい秋ですね」
「夏には心臓が、長夏には脾胃(ひい)が、秋には肺が弱るという話はしたよね」
「季節毎に弱る臓器があるという話ですね」
アウトドア生活の夏
「屋外で肉体労働や長時間のスポーツをしている人は、一日の長い時間を高い気温と高い湿度の中で過ごすよ」「すぐ日焼けしちゃいそうですね」
「そういった生活の人達は、従来通りのサイクルで内臓が弱るんだ」
「アウトドアの人は昔と同じサイクルなんですね」
インドア生活の夏
「逆に主に室内で生活している人は、昔とは違う季節を生きているんだよ」「昔とは違う季節ですか」
「クーラーの存在で、早い時期から「秋」が始まるんだ」
「秋は「寒暖差の激しい季節」でしたっけ」
「事務所やリビング、寝室は涼しくて快適。外へ出ると蒸し暑いという状態だよ」
「なるほど、それが秋と同じなんですね」
外と室内の温度差に注意
「その場合は、脾胃ではなく肺が弱るんだよ」「涼しい室内で過ごすインドア生活の人は肺が弱りやすいんですか」
「そうなんだ」
クーラー病
「それがクーラー病ってやつですか?」「まさしくクーラー病、冷房病と言われる症状なんだ」
「最近はどこに行ってもクーラー効いてますよね」
「現在、日本全国のエアコン普及率は91.2%もあるんだよ」
「9割以上の家庭にエアコンがあるんですか!」
(2015年内閣府の消費動向調査より)
地域別クーラーの普及率
「地域差が大きくてね、一番普及率の低い北海道は15.8%なんだ」「涼しいからクーラーは必要無いんですね」
「一番普及率の高い京都は97.5%もあるんだよ」
「京都はほとんどの家庭にエアコンがあるんですね!」
(2009年総務省統計局 消費実態調査より 2009年の全国エアコン普及率は88.1%)
「調査結果から見ると、蒸し暑い地域では殆どの家庭にエアコンがあるんだよ」
「凄く普及しているんですね」
「それは、基本的には良いことなんだよ」
「良いことなんですか?」
「長夏の蒸し暑さを軽減できるなら、軽減した方が健康に良いよ」
「蒸し暑さは軽減した方が良いんですね」
健康に良いクーラーの使い方
「換気やドライ機能を利用して、室内の湿度を下げる工夫をするといいよ」「湿度を下げるべきなんですね」
「長夏の湿邪から脾胃を守る為には、湿度を下げる必要があるんだ」
「脾胃は湿度に弱いんですね」
「温度設定に関しては、外気との温度差は5度以内に保った方がいいよ」
「冷やし過ぎてはいけないんですね」
そうりのかいごう
「東洋医学では肺の仕事に、腠理の開闔(そうりのかいごう)というものがあるよ」「総理の会合ですか?」
「腠理(そうり)というのは、身体中にある弁だと思って欲しい」
「弁ですか」
「弁を開けば気・血・水(きけつすい)が流れて、閉じて蓋をすれば流れが止まるんだよ」
「ふむふむ」
「毛穴」も腠理の1つ
「腠理の1つが「毛穴」なんだよ」「毛穴も弁なんですか」
「開いたり閉じたりするからね」
「なるほど」
腠理の開闔と体温調節
「暑いと感じれば、肺が腠理を開いて陽の気を外に出すんだよ」「陽の気が外に出るとどうなるんですか?」
「体温が下がるよ」
「逆に寒いと感じたら、肺が腠理を閉じて陽の気を出さない様にするんだ」
「肺が毛穴を開いたり閉じたりして体温調節しているんですね」
自律神経的な働き
「肺は自動的に、気温差に応じて腠理の開闔を行うんだ」「自動的に開閉しているんですか」
「無意識だからね、自律神経的な働きをしているんだよ」
「現代医学で言えば自律神経の働きなんですね」
自然な状態での腠理の働き
「自然な状態では、腠理は昼は開いて夜は閉じて、といった感じで働くんだ」「一日一回開いて閉じて、なんですね」
「それでも疲れるのに、一日に何度も暑さと寒さの中を行ったり来たりするからね」
「何倍も疲れちゃうんですね」
肺が疲れると?
「東洋医学では、肺には収斂(しゅうれん)という、引き締めて閉じる機能があるんだ」「収斂ですか」
「それを使って腠理の開闔を行っているんだけど、疲れた肺は収斂ができなくなるんだ」
「するとどうなるんですか?」
「腠理が開きっぱなしになって、寒い場所で体温を維持できなくなるんだ」
「それは困りますね」
クーラー病の正体
「それが俗に言うクーラー病の正体なんだよ」「なるほど」
「そしてそれが前回紹介した、昔の夏バテなんだ」
「同じものなんですね」
「ほとんどね」
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